2010.03.10 Wednesday
整体師 諸星玄丈 第111話
JUGEMテーマ:連載
第三章 如雪との出会い4 下田での作戦会議(5)
「こう言うと、みんなあっけに取られているよ」
物知り博士は愉快そうな顔をして笑った。
「そうかあ」
晴美も感心した顔で加藤さんを見ている。
「付け加えるとだね」
物知り博士はまた口を開いた。どうやらこれが彼がいちばん言いたいことらしい。
「漠然とした質問に対する答えほど、頭のよさが表れるものはないんだよ。抽象的な質問を、いかに的確に自分の具体的な状況に引き落とせるかということなんだね。ぼくは人間を評価するさいにも、よくこの手を使うよ」
「うーん、なるほど。しかし、嫌味な人すね。加藤さんは」
スシボンが呻くように言った。物知り博士は、それを聞いてますます嬉しそうに笑った。
ぼくはこのとき、いつぞや会ったホテリザの吉村社長のことをを思い出した。
「加藤さん。それだったら、如雪に今後の事業方針をたずねるというのはどうでしょうかね?」
「なるほど」
加藤さんはすぐ賛成してくれた。
「げっしんの言うように、如雪に事業の将来像を語らせるのは、いい方法かもしれないな。そうすれば、如雪がいま何を考え、どんな野心をもっているのか、また、なぜプロセス暗示を使ってまで派手な活動をしているのか、ある程度見当がつくかもしれん。どうだ、げっしん。できそうか?」
「調子に乗せて、如雪の本音を聞ければいいですけどね」
「うむ。それから、この場合のポイントは、如雪が本気で整体をつづける気があるのかということでもあると思うんだ。もちろん、如雪が素直にしゃべるかどうかはわからんが」
「たしかに、ぼくも彼が整体をどう考えているかはポイントになると思っています。如雪は少し違う方向に進んでいるような気もするんですけどね。それと、これはぼくの個人的な興味なんですが、どうして玄丈先生と如雪とが袂を別ったかということも知りたいものです」
「よし、そのあたりをみんなで突っ込んでいったらよさそうだな」
加藤さんは、ようやく組んでいた腕をほどいた。
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